• 参議院選挙 2016

    “ R E A L ”

    − 保育園編 − vol.1 A.Y.さん

     

    ―保育所問題の当事者になった経緯からお聞きしたいです。

     

     8歳と5歳と2歳の子どもを育てています。一番上の子は、保育所に入れたんです。でも、同時期に生まれた同僚の子供が保育所に入れなかったと聞いて、ショックを受けていました。次女が生まれてから今の住所に引っ越したんですが、保育所に見学に行ったら、「お母さん無理です、うちは入れません。2人なんて絶対無理」って言われたんです。家のすぐそばに保育所があって、子どもたちの声も聞こえてくるのになんで…と思いました。そんなとき、今の市長が、うちの市は待機児童ゼロだと発表しはったんです。新聞にバーンと載ったその言葉を見て、「ちょっと待てよ」と思いました。実際に入れない人がいますからね。周りのお母さんたちと話していても、入れなかったり、我慢してる人がたくさんいました。実際、待機児童ゼロと聞いて、わたしの市に引っ越して来た人もいました。

     それで、同じ怒りを抱えるお母さんたちと、待機児童の解消を求めるチームを作ったんです。チームで最初に作った横断幕は、『待機児童ゼロってそんなわけない』でした。

     

    ―どうやって、同じ思いを持つ人とつながったんですか?

     

     チームを発足して最初に、生の声を聞くために公園をめぐりました。『待機児童ゼロってそんなわけない』という横断幕を持って立っているだけで、入れなかった人や、どうせ入れないからと我慢している人にたくさん出会うことができました。チームを発足して1年間は、市の保育課に署名を持って3回懇談に行ったり、保育の集いを開いて勉強会を開いたりしていました。保育課との3回目の交渉の時には、審査請求も一緒に持って行きました。

     

    ―今、どんな子育て生活をされていますか。

     

     今の住所に引っ越してから仕事復帰したんですが、次女と三女が同じ保育所に入所できなかったんです。今流行りの“きょうだい別々園”ですね。そもそも、家の近くにある保育所が第一希望だったんですが、満員だったので泣く泣く諦めて、第二希望の園になんとか三女を入れました。ところが、5歳の次女はそこにも入れなくて、もっと離れたところに入所が決まりました。

     

    ―“きょうだい別々園”でどんなことに困っていますか?

     

     送り迎えです。歩いて行くこともできないし、職場の事情で車出勤もできなくて。急遽自転車を買うことになりました。でも、2人乗せられるような電動自転車って10万円以上するんです。5歳と2歳の子どもに自分の体重、保育所の荷物、仕事の荷物を合わせたら、80㎏くらいかな…。重さに応じて自転車の規格が決まっていて、とてもじゃないけど電動自転車でなければ、女性には漕げない。主人と交代で行くので本当は2台必要なんですが、そんな金額の自転車を急に2台買うのは難しいので、1台でなんとか回しています。お迎えも、朝自転車で送って行った方しか行けないので、急に行けなくなった時にすごく困ります。

     

    ―お迎え以外には何かありますか。

     

     入園説明会も、2箇所行かなければならない。日程も違うので、仕事復帰前の忙しい時に2日取られてしまいました。次女が普通の保育所、三女が認定こども園に入所したので、仕組みや入園準備も全く違っていて、そのこともしんどかったです。懇談会も2箇所行かないといけないですしね。

     

    ―子どもたちには影響はありますか。

     

     長女と次女は同じ保育所に入っていたので、延長保育のときも2人でお迎えを待つことができたんです。でも、今は“きょうだい別々園”で、次女と三女は一緒にお迎えを待つことができない。次女が1人で待つ妹を心配して「大丈夫かなあ」って言うんですが、実は自分が大丈夫じゃないんです。親としては、そんな姿が一番つらいです。

     

    ―保育所問題ついて、保育士さんの労働環境についてもよく指摘されます。お母さんの視点から、どうお考えですか。

     

     園長先生の口から、よくアルバイトっていう言葉を聞くんです。「ここからはアルバイトの人の仕事」「土曜日はアルバイトの人で回してる」とか。自分が敏感なのかと思うくらい“アルバイト”という言葉が聞こえてくる。

     

    ―アルバイトの人にお子さんを預けるのは不安じゃないですか。

     

     もちろん、アルバイトって言われると不安です。今の保育所はまだ信用してるからいいんですが、何も知らないまま入って、こんなにアルバイトって言われたらちょっと嫌ですよね。
    そもそも日本は、保育士さん1人が見る子どもの人数がすごく多いんです。欧米なんかと比べても、ちょっとびっくりするような数で。でも、それではやっぱりやっていけないから、その分アルバイトで補っているみたいです。本当は、保育士さんに余裕をもって子どもに接してほしいです。保育士さんの待遇は、親としては一番問題にしてほしい。自分の子どもが大事やから、余計にそう思います。

     

    ―時代とともに、子育てを取り巻く環境も変わってきました。

     

     わたしは小学校教諭をしていますが、特に小さい子どもは、「家庭」をそのまま背負って生きていると感じます。最近荒れてるなと思ったらお家の人が病気だったり、しんどい子やなと思ったら、家ではいつも一人でご飯食べる子だったり。子どもが幸せな社会がいいなと思うんです。大人の影響全部受けて、ぐっと我慢したり、我慢しきれなくて爆発してしまう…。子どもたちがそんな思いをしなくていいような社会って何やろう?ってずっと考えています。

     例えばわたし自身、家に帰ったら自分の生活や子育てがある。子どもが保育所に入れなかったり、親が病気だったり。うまくいかないときも、助けてくれるところがないから、全部自分で抱え込んでいます。そうやって余裕のないなか生きるわたしも、クラスの子どもにとっては「環境」の一部。そして、クラスの子どもたちにもそれぞれの家庭があって、それぞれの家庭が悩みや仕事、それこそ保育所の問題なんかを抱えている。結局、その影響を全部受けるのは子どもたちなんです。

     

    ―親も子どももしんどい状況。

     

     親はやっぱり、子どもの希望は全部聞いてあげたい。子どもに我慢させるほど苦しいことはないし、「おなかすいた」と「やりたいことができない」は絶対聞きたくない言葉です。やれることはきっと、たくさんあるんです。子どものことでお金を使ってほしい場所は、きりがないくらいいっぱいあります。

     

    ―子育てをするなかで、お金について思うことはありますか。

     

     保育料はすごく高いんですよ。住民税の税率によって保育料が変わるんですが、一番高くて、3歳児がひと月8万円くらい。あと、子どもが病気になると大変。病児保育に頼るんですが、1日2000円で定員も3人くらい。それに入れなかったら民間で探すんですが、1日6000円くらいかかる。この間も次女が病気の時に3日で1万8000円かかりました…。

     

    ―子育てにお金がかかりすぎると、もう子どもはいらないと考えてしまいますよね。

     

     4人目を妊娠して、お金の心配と保育所のことと、両方の心配があります。今から保育所を予約しておきたいくらい。私は仕事が本当に好きなので、どうにか子育てと仕事は両立させたい。

     

    ―いま一緒に活動されているお母さんたちは、こういった活動は初めてですか?

     

     そうそう。普通のママたちなんです。だから、審査請求を出しに行った時もすごく戸惑って(笑)。でも、いざ保育課の人を前にすると、思っていることをはっきり伝えることができました。私たちは市長や保育課の人に文句を言いに行くというよりは、一緒に話し合えたらいいと思ってるんです。そんな、行政の形、国の形を望んでいます。チームの月1回のミーティングに、市の保育課の人がいるようなイメージ。

     

    ―今日はありがとうございました。